熱いマントル流入による白亜紀後期-暁新世日本のイグニンブライト・フレアアップの発生
- Keywords:
- Ignimbrite flare-up, Mantle, Izanagi plate, Cretaceous, North China Craton, Japan, Korean peninsula, Arc magmatism, Tectonics
沈み込みのパラメータ、マントル流動、マグマシステムがイグニンブライト・フレアアップ(大規模なカルデラ噴火の集結現象)を引き起こす仕組みは、十分には理解されていない。日本弧および朝鮮半島を対象に、白亜紀から古第三紀にかけての火成活動とSr・Nd同位体組成の時空間変化を新しいデータセットに基づいて再検討した。その結果、岩石形成時における87Sr/88Sr(SrI値)および未分化な太陽系始原物質の代表組成で規格化した143Nd/144Nd(εNd(t)値)に基づき、SrI = 0.7065およびεNd(t) = −3.5を境として異なる二つのマントルソースの存在が明らかになった。より同位体的にエンリッチした(SrIが高く、εNd(t)が低い)マントルソースは、100–60 Maにかけてマントルウェッジに流入した。この同位体組成のエンリッチ化は日本弧において90–60 Maにピークを迎え、イグニンブライト・フレアアップの発生時期と一致する。この同位体組成変化は、150–140 Maに北中国地塊下で始まったパンサラッサプレートのロールバックによって誘発されたアセノスフェアマントルの受動的上昇によって説明できる。我々のデータセットは、マントルから下部地殻への熱流量の増加が、濃飛流紋岩などの世界規模のイグニンブライト形成の主要因であったことを明確に示している。