火星衛星探査計画(MMX)探査機用イオンエネルギー質量分析器フライトモデルの搭載前較正試験
- Keywords:
- Martian Moons eXploration (MMX), Phobos, Mars, Mass spectrum analyzer, Ion analyzer, Time-of-flight, Secondary ions, The solar wind, Atmospheric ions
火星衛星探査計画(MMX)は、探査機によるサンプルリターンを含めた科学観測により、火星衛星フォボスの起源や進化を明らかにすること目的としている。MMX探査機搭載の観測装置の一つであるMSAは、イオンエネルギー質量分析器と磁力計から構成される。イオン分析器は、火星―月系の周辺にて低エネルギーイオンの3次元速度分布関数と質量プロファイルを測定する。主な観測対象は太陽風イオン、フォボス表面から放出される金属イオンや水イオン、火星大気から散逸するイオンである。半球状の視野は一対の角度走査偏向電極で確保され、エネルギーと質量の計測は、球殻電極による静電分析と線形電場を利用した飛行時間計測法によって実施される。多岐にわたるイオン種を質量分析するため、質量分解能をM/ΔM>100という非常に高い性能にまで向上させたことが、このイオン分析器の特徴である。本論文ではイオン分析器の概要を紹介し、開発したフライトモデル性能試験の結果について報告する。