日本語要旨

琉球列島周辺における高水温イベントの時空間変動およびサンゴ白化との関係

琉球列島周辺における高水温イベントや高水温偏差イベントが、いつどこでどの程度発生していたのかを明らかにするとともに、それらとサンゴ白化との関係を調べた。調べた期間は,高水温イベントや高水温偏差イベントは1982年〜2022年の41年間,サンゴ白化は2005年~2022年の18年間である。高水温イベントは、平均水温が上昇する夏に多発するのに対し、高水温偏差イベントは、1年を通して発生する。高水温イベント、高水温偏差イベントともに、近年、増加傾向にあった。高水温イベントとサンゴ白化は、時間的空間的に同期して起こる。また、高水温イベントは、ラニーニャや負のインド洋ダイポールモード現象と同期することが多い。100mスケールで発生するサンゴ白化現象が100-1000kmスケールで発生する高水温イベントと同期し、10000kmを超えるスケールの大規模変動と関連することを明らかにした本研究の結果は、サンゴ白化現象発生の理解を深めるとともに、予測可能性を示唆するものである。