気象雷モデルの優位性検討
- Keywords:
- Lightning, Bulk lightning model, Cloud microphysical model, Numerical weather prediction
本研究では、日本の夏季と冬季の発雷事例について、気象雷モデルで数値実験を行い、その性能を評価することにより、雷予測における気象雷モデルの優位性を検討した。性能の評価は、気象雷モデルによる雷の予測、数値モデルによる雷の経験的な診断手法、および雷の地上観測の結果の比較により行った。 実験の結果、気象雷モデルは診断手法と比較して、雷の水平分布の再現性能や観測との時間相関に有意な差は見られなかったものの、雷頻度の予測においてより優れた性能を示した。 また、気象雷モデルの雲微物理モデルに対する感度を調べるために、2モーメントスキームと1モーメントスキームを用いた感度実験も行った。 その結果、気象雷モデルは2モーメントスキームでは観測された雷をよく再現したのに対し、1モーメントスキームでは雷頻度を過大評価した。解析の結果、1モーメントスキームでは霰がより多く生成され、また仮定されている霰の落下速度が速いため、霰と雪または氷晶の衝突による着氷電荷分離が活発になり、雷頻度が過大評価されたことが示唆された。以上より、2モーメントスキームを用いた気象雷モデルは、従来の雷予測手法と比較しても、特に雷の頻度の予測において有効であることが示された。」