日本語要旨

沈み込み帯の熱構造に関する入門レビュー:Iーその意義と代表例

沈み込み帯の熱構造は,活動的なプレート収束縁で起こる物理的および化学的プロセスを理解するための基礎である.これらのプロセスには,マグマの生成と関連する島弧の火山活動,地下浅部および深部の地震活動,流体を放出する可能性のある変成反応が含まれる.計算モデルは,その記述が完全な場合,熱構造を高い数値精度で予測できるが,これはそのモデルの正確度や適用性を保証するものではない.本論文を含む一連の3論文では,沈み込み帯の熱構造モデルの構築,その沈み込み帯研究への適用,そして地球物理学的および地球化学的観測との関連を考察する.この第一論文では、熱構造を理解する意義を実験および観測に基づいて示す.さらに,日本の沈み込み帯に適した熱構造モデルの選択についても考察する.