M ~ 9地震サイクルにおけるM > 7宮城県沖地震の繰り返し間隔
- Keywords:
- Earthquake cycle, Recurrence interval, Slip deficit, Tohoku-Oki earthquake, Miyagi-ken-Oki earthquake, Repeating earthquake, Aseismic slip, Rate-and state-dependent friction law
2011年東北地方太平洋沖地震の発生が、現在周辺に与えている影響は明らかではない。そのため、日本海溝沿いの地震活動の長期予測が難しくなっている。本研究では、東北沖地震震源域の西端で発生するM7クラスの宮城県沖地震を対象として、速度・状態依存摩擦則に基づいた地震発生サイクルの数値シミュレーションを行った。そのうえで、過去に発生した宮城県沖地震の繰り返し間隔や余効すべり分布について、観測データから得られている知見に基づき、シミュレーション結果の妥当性を評価した。さらに、約30年間にわたる繰り返し地震の解析によって得られたプレート境界面上のすべりの時空間分布と、シミュレーション結果とを比較した。その結果、宮城県沖地震震源域の付近で観測されている、プレート境界面上での非地震性すべりの時空間的特徴を、シミュレーションで再現されていることが確認できた。M9地震とそのすぐ次の宮城県沖地震との時間間隔は、M9地震サイクル後半の宮城県沖地震の平均繰り返し間隔よりも短かった。一方、M9地震後、最初と2番目の宮城県沖地震との間隔は、M9地震サイクルの中で、最長であった。このように、M9地震サイクル前半の宮城県沖地震の繰り返し間隔は、後半に比べてばらつきが大きかった(左図)。これらの特徴は、宮城県沖地震震源域内とその周辺での、固着域と余効すべり域の広がりに関係している(右図)。従って、宮城県沖地震の発生準備過程において、宮城県沖地震震源域内とその周辺でのすべり速度の時空間分布をモニタリングすることは、次の宮城県沖地震が近づいているかどうかを評価する際に、非常に重要であると言える。さらに、地震やスロースリップのモニタリングと地震発生サイクルシミュレーションを組み合わせることは、地震活動の長期評価に、有益な情報を提供できるだろう。