その場観測に基づくブラックカーボンエアロゾルの気候関連特性の解明:レビュー
- Keywords:
- Atmospheric chemistry, Atmospheric radiation, Climate, Aerosol, Light-absorbing aerosols, Black carbon
光吸収性エアロゾルは、大気中や積雪中において太陽放射を吸収することにより、大気放射、力学、降水量に影響を及ぼしている。ブラックカーボン(BC)は、光吸収エアロゾルの中で、グローバルな短波吸収に最も大きく寄与していると考えられている。BCの気候影響の要因分析・予測に用いられるモデルの検証・改良のためには、単一粒子から全球分布まで幅広いスケールのフィールド観測が必要である。本稿の焦点である「その場観測」は、リモートセンシングやフィルター採取試料のオフライン分析により得られる観測情報のギャップを埋めるものである。本稿では、BCのその場観測手法についての背景と最近の進歩、そして気候モデルやリモートセンシングの検証・改良に利用されている観測的知見をレビューする。最後に、再考と研究が必要な未解決問題をいくつか提案する。