一様な斜面と集水域に分けられた地形分類用のグローバルなポリゴンデータ
- Keywords:
- Geomorphological map, Terrain classification, MERIT DEM, Landform, DEM, Global, Geomorphometry, Vs30, Hydrology, HAND
全球の地形分類データは、地形に関連する様々なテーマ、例えば土壌タイプや地震による地盤の揺れやすさ、地震ハザードマップなどに利用されてきた。しかし、数値標高モデル(DEM)の解像度の関係で、既往研究の全球の地形分類データは、狭い谷底平野や、平野部の微高地などの微地形を区分する事ができなかった。微地形ほど地域的な多様性が大きいため、DEMの解像度向上による微地形抽出の改善と、グローバルな地形学的な凡例の作成難易度にはトレードオフの関係がある。この問題に対処するため、まず、90m解像度のMERIT DEM(Multi-Error-Removed Improved-Terrain DEM)から計算した斜面勾配とHAND(最寄り落水線からの比高)を用いて、似た形の斜面領域をセグメンテーションし、MERIT-Basinsの単位集水域ポリゴンと合成した。ポリゴンデータ(Shapefile)には、計算した地形量(傾斜、HAND、尾根谷密度、凸部の分布密度、窪地フラグ)、ノイズのタイプ、単位集水域のIDを属性として格納した。併せて全球で接合可能な15および40区分のクラスタリング結果と、大分水界毎の15および40区分のクラスタリング結果のデータ(dBASE IV)を用意し、Shapefileの属性として結合できるようにした。15区分のクラスタは、後処理無しで、地形の概要を観察するために作成された。一方、40区分のクラスタは、グルーピングや再分類を行い地域毎のゾーニングデータを作成することを想定して用意された。このデータセットは、著者らの以前のグローバルな地形分類データと比較して、平野部の微高地の検出が明瞭に改善している他、山地・丘陵地についても日本の30mDEMを用いた先行研究の成果を盛り込んだものとなっている。従って、地形と関連する様々な応用分野において、モデリングや推計に寄与する事ができると考えられる。
本論のデータセットはこちらのウェブサイトからダウンロード可能である。[https://gisstar.gsi.go.jp/terrain2021/]