太陽の転変と極限:理解の現状
- Keywords:
- Solar magnetic fields, Stellar evolution, Stellar flares, Stellar wind, Space weather, Space climate, Faint Young Sun paradox, Star planet interactions, Planetary evolution, Habitability
太陽などの恒星の活動は、非常に短いタイムスケールのものから恒星や惑星の進化のような非常に長いタイムスケールのものまで、そのタイムスケールは様々である。これまでの研究により、太陽フレアやコロナ質量放出などの突発現象が、地球周辺の宇宙環境または惑星大気に大きな影響を与えることがわかっている。また、恒星におけるスーパーフレアなどの極端な大規模イベントは、惑星大気の質量損失に影響を及ぼし、生命にとって適さない状態を作り出す可能性がある。太陽のような恒星が数千年から数十億年にわたってゆっくりと長期的に進化すると、恒星風の特性、放射量、宇宙線量、磁気嵐の頻度なども徐々に変化すると考えられる。この恒星・惑星結合システムの進化は、結果的に惑星や系外惑星のハビタビリティーを決める。SCOSTEP(Scientific Committee on Solar-Terrestrial Physics:太陽地球系物理学科学委員会)のプログラムであるVarSITI(Variability of the Sun and its terrestrial impact:太陽活動変動とその地球への影響)の研究グループであるSEE (Solar Evolution and Extrema: 太陽の転変と極限) は、天文学および天体物理学の幅広い分野に関連する学際的なテーマである恒星・惑星結合システムの進化の理解を促進し、発展させることを目指している。このレビューでは、過去の太陽活動の再構築と理解、物理的なダイナモモデルによる太陽周期活動予測、暗い太陽のパラドックスを含む地球の歴史における太陽活動の進化の理解、太陽で起こりうる活動現象の極限の理解など、VarSITI SEEプログラムの主要テーマの成果に焦点を当てる。