原始惑星系円盤磁場の地球型惑星の化学組成への寄与
- Keywords:
- planetary formation, planetary composition, accretionary disk, magnetic field
地球型惑星は、金属核、ケイ酸塩層(マントルと地殻)、そして気層の、元素組成の異なる3層から成る。地球型惑星の材料物質とされているコンドライト隕石は、O、Fe、Mg、そしてSiが質量・原子数の9割超を占める一方で、各元素の比(Mg/Si、Fe/Si、Fe/Oなど)は様々な値を取ることが知られている。このような天体の全球化学組成に対して、原始惑星系円盤における天体集積や、集積後の天体衝突などの物理プロセスがいかに寄与したのかについては、不明な点が多く残されている。
本稿では、各々の地球型惑星の化学組成の推定結果に基づき、これらの天体の質量において金属核が占める割合や、天体構成物質の平均密度が、太陽からの距離に従って減少する事を示す。そして、この傾向は、原始惑星系円盤の磁場強度が太陽から離れるほど減少するモデルと整合的である事を示す。つまり、太陽系における金属鉄の分布は、太陽からの距離に応じた酸化還元状態や空気力学的プロセス、そして磁場強度の変化に依存しているとみられ、天体のハビタビリティに寄与している可能性がある。また、系外惑星系においても、中心星からの距離が金属鉄分布に寄与している可能性が指摘できる。