南琉球弧宮古島沖島棚上の水深70~100mに分布する沈水サンゴの新たな発見
- Keywords:
- Sub-bottom profiling (SBP), bathymetric mapping, Ryukyu Island Arc, sea-level change, submerged reef, Miyako-jima, Northwestern Pacific
南琉球弧に位置する宮古島沖おいてサブボトムプロファイラー(SBP)調査とマルチビーム測深(MBES)調査により、海底表層の高分解能音波探査断面と海底地形データ取得した。これらのデータから、宮古島東方の島棚上の水深70~100 mに、高さ3~8 m、幅50~120 mの特徴的なマウンド状地形の存在が明らかになった。SBP記録では、下位層基底まで続く明瞭な凸状を示す強い反射面が認められ、これは沈水したサンゴ礁またはサンゴ礁堆積物と解釈される。SBP調査およびMBES調査によって示されたマウンド状構造は、これらの分布が現在のサンゴ礁が成長する場所よりも深い水深70 mから100 mの間に限定されているため、それらが最終氷期を含む低海水準期に形成された可能性があることを示唆する。これらのマウンド状地形は、成層した堆積層に縁辺を覆われ、低海水準期に形成されたマウンド状地形が、最近の海面上昇期に埋没したことを示している。今回得られた高分解能音波探査断面や詳細な海底地形マッピングは、海水準変動などのサンゴ礁の発達に関する古環境変動の指標となるだけでなく、海域の隆起・沈降などの構造発達史に関する効果的な指標を提供すると期待される。本調査では音響的特徴により、新たな沈水サンゴの分布を確認したが、その年代や発達史などの詳細については、掘削などの直接的な試料採取による今後の調査が必要と指摘される。