21世紀の温暖化予測モデルにおける親潮と黒潮のフロント検出
- Keywords:
- Global warming, Climate projection, Kuroshio, Oyashio
1981年から2100年までの高解像度温暖化予測モデルの結果から、親潮と黒潮のフロント緯度の変化を調べた。元となる領域モデルは、RCP2.6とRCP8.5の2つのシナリオで走らせた4つのCMIP5のモデルをダウンスケーリングしたものである。本研究では2通りのフロント検出法を比較した。一つは従来の研究で広く使われている亜表層の等温線を利用する方法である。もう一つは新しく提案する、温暖化の進行に伴い変化する水温塩分(TS)プロファイルを利用する方法である。どのシナリオ・モデルでも黒潮のTSプロファイルが21世紀を通して大きく変化しなかったのに対し、RCP8.5シナリオの親潮のTSプロファイルは大きく変化した。等温線を利用する方法では、親潮と黒潮のフロント緯度はRCP8.5の最も極端なケースで2度北上した。一方でTSプロファイルを利用する方法では、フロントの北上緯度は1度以下だった。この2つの方法で定義したフロント位置と海面流速分布の比較から、TSプロファイルを利用する方法の方がより正確にフロント位置を捉えられていると判断できる。