日本語要旨

深層学習-マイクロマニピュレーターシステムを用いた単種微化石の自動集積

微化石の骨格を用いた安定同位体比,放射性炭素年代,微量元素などの地球化学的な分析においては,膨大な時間と労力をかけて単一の種のみを顕微鏡下で1つずつ拾い出し大量に集積する必要がある.本研究では,これらの作業を自動化する装置を開発した.専門家が不在でも人工知能の学習方法の1つであるディープラーニングを使用して微化石を種レベルで正確に分類し,電動X-Yステージを備えた顕微鏡に取り付けられたマイクロマニピュレーターにより連続的に拾い出すことが出来る.これにより,これまで人の手では達成できなかった速度と精度で大量の微化石を集積することが可能となった.特定の微化石種のみを蓄積するこの技術は,手作業による拾い出し作業に要する時間と労力を大幅に軽減する.また,時間と労力の面から,測定に必要な量を集積するのが困難であったより小さな微化石種の集積ができることで,その同位体比や微量元素などの化学分析が可能になると期待される.さらに,微化石以外にも様々な種類の粒子に適用でき,医療,食品,園芸,物質材料などの分野での応用も期待される.