日本語要旨

非静力学領域の大気大循環モデルの力学:全球非静力学大気モデル比較実験

全球ストーム解像モデル(全球非静力学モデル)の最初の相互比較プロジェクトであるDYAMONDの実験プロトコルと研究目的に関するレビューを提示する。 9つのモデルが40日間(2016年8月1日-9月10日)の相互比較期間のシミュレーション結果を提出した。これらのうち8つのモデルは、5km未満のメッシュ間隔で球面を覆う格子系を採用している。全球ストーム解像モデルでは熱帯の深い対流パラメリゼーションを用いずに、熱帯の積雲対流に伴うメソ循環の力学的な時間変化を計算することにより、気候システムのより自然に即した表現が可能である。また、人工衛星搭載センサーによる同程度の高解像度のデータと、より親和性のある比較が可能になる。各モデルと計算結果の基本的な特性をより詳細に説明するとともに、今後の研究のために、この計算結果の利用可能性の計画を示す。モデルアンサンブルの全球および東西平均したエネルギー収支、可降水量の分布、降水量を示し、熱帯低気圧の再現性と熱帯気象において重要な可降水量の予測可能性を評価する。