日本語要旨

GCOM-C(しきさい)衛星搭載SGLI雲プロダクトのアルゴリズムと初期解析結果

本論文では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2017年12月23日に打ち上げたGCOM-C(日本名:しきさい)衛星搭載SGLIセンサーで用いられる雲識別アルゴリズム(CLAUDIA)と雲特性解析アルゴリズム(CAPCOM)の理論的背景を解説し、さらにこれらのアルゴリズムを用いた初期データ解析の結果を示し、議論した。

CLAUDIAを用いたSGLIセンサー雲識別の検証は、地上7カ所に設置された全天雲カメラのRGB画像からSI-BI法で推定した雲量との比較で実施された。その結果、User’s accuracyおよびProducer’s accuracyの値は高く、それぞれ90%前後であった。Overall accuracyは83%から100%の間であった。

CAPCOMを用いたSGLIセンサー雲特性の検証は、米国航空宇宙局(NASA)のTerra衛星搭載MODISセンサーにおける同類プロダクト(MOD06)との比較で行われた。比較の期間は2018年8月22日から同年9月14日で、データの範囲は中低緯度(60°N〜60°S)であった。その結果、SGLIセンサー雲特性とMODISセンサー雲特性に強い相関があることが分かった。海上(陸上)における水雲の雲光学的厚さ、雲粒有効半径、雲頂温度の相関係数はそれぞれ0.88(0.83)、0.92(0.88)、0.94(0.92)であった。一方、氷雲の光学的厚さの相関係数は、海上(陸上)で0.86(0.82)であった。

CLAUDIAアルゴリズムによるSGLIセンサー雲識別プロダクトおよびCAPCOMアルゴリズムによるSGLIセンサー雲特性プロダクトは、JAXAが事前に定めていたGCOM-Cミッションのミニマムサクセス・クライテリア(プロダクトを公開して良いと判断される精度の閾値)を満足することが確認されたため、2018年12月から公開されている。