日本語要旨

異なる空間スケールにおける岩盤河床の地形計測と地形学的文化遺産の研究のための応用

地形の数量的な特徴の把握は、地形学と関連する文化遺産の研究のために重要である。地形の三次元モデリングの技法は、文化遺産を含む地形学的なサイトの認定、特徴の把握、価値の評価に有用である。岩盤河床は、地形学的な文化遺産について検討する際に重要な要素となる。なぜなら、多数の独特かつ魅力のある地形学的な景観が岩盤河床と関連しており、岩盤河床に形成された侵食地形は容易には変化せず、長期的に景観を構成するからである。デジタル標高モデル(DEM)の普及により、地形の数量的指標を正確に求めたり、地形の形態と形成プロセスとの関係を詳しく検討したりすることが可能になってきた。本論文では、岩盤河床のDEMを取得する複数の方法をレビューする。また本論文では、複数の空間スケールにおけるDEMの分析を扱い、最近、微細な地形を計測する光学的機器として技術開発が進んだマイクロ・ルゴシメータを紹介する。微細な地形の計測と分析は、岩盤河床に関する多様な空間スケールの知見を増やす契機になる。また、地形の教育的な活用や理解の深化にも貢献するため、地形学的なサイトの多様性を社会的に評価する際にも有用な新技法といえる。