日本語要旨

新しい円磨度パラメータ R: アスペクト比で補正した円形度

アスペクト比で補正した円形度として得られる新しい円磨度パラメータ R を提案する.円形度は2通りの方法で変化させることができる.すなわち,粒子画像の面積の変化による場合と周長の変化による場合である.これを考えるために,理想的な円(真円)を仮定する.もし,周長のみを増加させて面積が一定であれば,円形度は減少する(図a,左から右へ).これは,周長の増加が粒子の円磨度を減少させたことを意味する.すなわち,円形度の減少に伴い,円磨度もまた減少することになる.一方,真円から歪ませて(アスペクト比を変化させて)面積のみを減少させて周長は一定とした場合も,円形度は減少する(図b,左から右へ).しかしながら,真円から歪ませた楕円の円磨度は依然,高いままである.よって,アスペクト比を用いて円形度を補正することができれば,円磨度を決めることができる.言い換えると,アスペクト比の変化によってのみ減少した分の円形度を粒子画像から得られた円形度に加えて補正することによって,円磨度を得ることができる.この新しい円磨度パラメータの基本概念は,以下の式によってあらわされる.

R = Circularity + (Circularityperfect circle - Circularityaspect ratio)

ここで, Circularityperfect circle は真円の円形度, Circularityaspect ratio は真円のアスペクト比のみを変化させたときに得られる円形度である.

ImageJ ソフトウェアを用いた真円と楕円のデジタルイメージの検討から,R の算出のための画像の有効な大きさとアスペクト比は,100~1024ピクセルかつ10:1~10:10であった.R は以下によって与えられる.

R = CI + (0.913 - CAR)

ここで,CI は ImageJ ソフトウェアで算出した円形度,CAR は同ソフトウェアから得られるアスペクト比と円形度の6次回帰式である.新しい円磨度パラメータ R とKrumbein (1941) の円磨度印象図の粒子画像(n=81)との相関係数は 0.937 (自由度修正済み相関係数は 0.874)であった.R を現世の海浜堆積物と斜面堆積物に適用した結果,両堆積物を定量的に区分することができた.すなわち,R は粒子円磨度の厳密な統計解析を実行することのできる有効性を持っている.