日本語要旨

地球磁場永年変化のデータ同化に対する地球外核の動的応答

地球磁場観測と地球ダイナモモデルのデータ同化(地球磁場データ同化;GDAS)は、近年、急速に進歩してきた。しかしながら、気象学において進展したデータ同化と比べると、地球磁場データ同化はまだ初期段階にある。データからモデルに渡って数多くの挑戦がなされてきたが、短い時間スケールの観測記録と長い時間スケールのコアダイナミクスとの間には隔たりがある。観測データを追加するとコアダイナミクスがどのように応答するかを理解することを目的として、われわれは、観測による情報をできる限り利用するために、地球磁場モデルを通して得られるコアの磁場と永年変化 (SV) 両方のガウス係数を、直接データ同化するための努力をしてきた。われわれの研究によれば、SVを取り入れたデータ同化によってダイナモモデルの立ち上がり過程は短くなる。観測された磁場および永年変化に対してコア-マントル境界 (CMB) の下の流れがどのように応答するかが重要になる。最も強い応答は比較的短いスケールの流れ(球面調和関数展開の位数 L≈30 で生じる。この流れは軸対称トロイダル流(次数 m=0)および m≥5 という非軸対称ポロイダル流を含む。コアの流れを理解するために、そして、特に将来の地球磁場変動の予測精度を改善するために、これらの応答を使うことができる。