日本語要旨

カロライナ平地(米国の大西洋海岸平野の地表にみられる卵型陥没地形)に付随する水素分子の自然漏出の形跡

米国ノースカロライナ州にあるカロライナ平地と呼ばれる陥没地形の内部とその周辺を対象に土壌ガスの研究を行った。このような陥没地形は、米国の大西洋海岸平野全域にわたって観測されているが、その原因については未だに議論されている。そのカロライナ平地のとりわけ周辺において著しい水素濃度の高まりが検出された。これらの土壌ガスの測定結果は、カロライナ平地は地下深部から地表への水素ガスの流動経路が地表に現れたものであることを示唆している。水素の生成および輸送に関して想定されるメカニズムや、流体の移行経路に係わる地質学的支配要因は、カロライナ平地が深部から表層への水素の移行経路に沿って、岩石が変質したことによって局所崩壊が生じた結果であるという仮説に基づいて考察した。現在確認されている水素の漏出は、東ヨーロッパ・クラトンでこれまでに観測された同様の構造における漏出に匹敵するものである。