日本語要旨

惑星ダイナモにおけるローレンツ力とコリオリ力の競合

惑星の磁場はコア内の流れによるダイナモ作用によって生成されている。流れを回転軸方向柱状にしようとするコリオリ力の影響、そして磁場との相対的な流れを抑制するローレンツ力の影響を受ける熱対流・組成対流が、コアの磁場生成過程を駆動している。惑星のコアではコリオリ力とローレンツ力が他の力よりも支配的であり、かつ、ほぼ同じくらいの大きさであると論じられている。われわれは一連の数値地球ダイナモモデルを用いて、ローレンツ力とコリオリ力の比を計算して、この仮説を検証する。われわれの結果によれば、この比は修正動的エルザッサー数Λd* = 0.77 Λi Rm−1/2 によって見積もられる。ここで、Λi は静的エルザッサー数、Rm は磁気レイノルズ数である。コア内の流れの速さと磁場強度の見積もりから、地球ダイナモはローレンツ力とコリオリ力の大きさがほぼ同じある磁気地衡流平衡にあると考えられる。木星の内部でもローレンツ力はコリオリ力の大きさと同程度であろう。逆に、土星、天王星、海王星、ガニメデ、そして水星のコアでは、ローレンツ力は相対的に弱いと考えられる。