合成石英岩を流れる水性流体の集束と孤立のイメージング:深部岩石の浸透率と滞留流体分率への示唆
- Keywords:
- Permeability, Quartzite, Digital rock physics, Dihedral angle, Microstructure development
現実的な岩石-水系の微細構造は、系の全界面エネルギーを最小化するように進化し、流体の形態は理想的なモデルを超えて局所的に変化する。その結果、このような系における浸透率と空隙率の関係や流体の分布は、理論的な予想から外れる可能性がある。本論文では、合成した岩石の高分解能放射光X線マイクロトモグラフィと浸透率の数値計算を組み合わせたアプローチにより、低流体分率における深部岩石の浸透率の発達と流体の保持とをより深く理解することを目的とした。まず、ピストンシリンダー装置を用い、粒成長が効果的に起こる条件下において、異なる流体分率と濡れ性を持つ石英岩(二面角が52°の濡れの良い系と61°–71°の濡れの悪い系)を合成した。天然の環境において、均質で等方的な濡れの良い流体を含む岩石の系では、すべての流体が粒界の稜とチューブ状通路に沿って連結し、重力による圧密と流体分離が起こるはずである。しかし石英岩中の流体の連結性は、全流体分率が0.030-0.037に減少したところで石英岩の非理想性(界面エネルギー異方性、すなわち粒子のファセットを含む)の効果が顕著となり、急速に低下してほぼ0となった。濡れの悪い流体の系では、二面角のみに基づいて計算される界面エネルギーを最小化する流体量は0.015–0.035であるが、孤立した(連結の切れた)流体量は0.048–0.062であった。濡れの悪い系では、流体量が低下すると、流れが少数のチャンネルに集束することで浸透率を維持し、それが連結した流体の効果的な分離を可能とすることが、流体の流線の計算によって明らかとなった。これらの結果は、濡れの悪い流体がどのように岩石から分離するかについての洞察を提供し、岩石中に保持される濡れの悪い流体の体積分率の例を与えるものである。今回の発見は、濡れの良い系の流体が地球深部へ輸送される可能性を示唆しており、地球内部へ引きずり込まれる流体の量は、以前に推定されたものよりも多い可能性がある。