日本語要旨

日本列島周辺で発生したマグニチュード7級地震の余震域拡大速度の定量化

地震(本震)は余震を引き起こす。余震数が経過時間のべき乗に従って減少する一方、余震の空間的範囲は経過時間の対数におよそ比例して拡大する。本研究では、日本列島周辺で発生したマグニチュード7級地震を対象として、余震域の拡大速度(対数時間における)を評価した。拡大速度の推定には、余震域端の伝播を回帰する単純な手法を用いた。その結果、プレート境界で発生した本震については、拡大速度と余震のマグニチュード別頻度分布におけるb値(差応力と負相関するパラメータ)との間に負相関が見られた。これは、拡大速度と本震後の差応力との間に正相関があることを意味する。この傾向は、プレート内部で発生した本震には見られなかった。マグニチュード8を超える大きなプレート境界地震の震源域周辺では、マグニチュード7級地震の余震域が急速に拡大する傾向があり、高い差応力が示唆された。