d4PDF: 地球温暖化リスク評価のための大規模アンサンブル高解像度気候モデルシミュレーション
- Keywords:
- Global warming, d4PDF, ensemble climate simulation, atmospheric model, dynamical downscaling, detection and attribution, impact assessment, climate change adaptation, natural hazard, storm surge
現在、「地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベース(d4PDF)」 として公開している大規模気候シミュレーションデータベースは、気候変化に伴うリスク評価を行えるように作成されたものである。2015年時点で完了した計算結果を公開して以後も、本データベースは拡張を続けている。本データベースには、高解像度全球および領域大気モデル (解像度はそれぞれ 60 kmと 20 km) による、のべ数千年のアンサンブル過去・将来気候シミュレーション結果が含まれている。将来シミュレーションは、産業革命以前から全球平均地表面気温が 4 K、2 K、そして 1.5 K 上昇した気候状態を設定して行われている。地球温暖化が生じていない、つまり 20 世紀初頭の気候状態が現在まで継続していると想定した気候シミュレーション実験出力もd4PDF には含まれている。実験データの総量は約 2 ペタバイトである。使用した大気モデルは、気候値や、自然変動、豪雨や台風などの極端現象について、過去気候の特徴を良く再現している。データ利用者は、d4PDF の過去と将来シミュレーション出力から、気候の平均状態や豪雨や台風などの顕著現象の特性についての統計的に有意な将来変化を、統計的仮定を導入することなく、簡単な算術計算により求めることができる。本データベースは、温暖化に起因する気候変化を調査する目的にも有用である。気候変化の影響評価研究では、自然災害、水文、都市計画、農業、健康、保険に係る様々な分野でのデータ利用が進められている。気候変動研究や気候変化リスク評価研究を進めたり、地球温暖化適応施策を検討したりする上で、本データベースはいまや不可欠なものとなっている。さらに、日本では、d4PDFの普及とともに、地球温暖化研究に係る学際的研究コミュニティが形成された。