日本語要旨

混濁流の高解像度シミュレーション

本論文では,2つの異なるシミュレーション手法を用いて混濁流の直接数値シミュレーションを行っている.1つめの手法は,連続体的アプローチ(continuum approach)である.浮遊砂濃度場を連続体として定式化して三次元Navier-Stokes方程式の直接数値シミュレーションを行い,海底地形や海底構造物,周囲水の密度成層と相互作用を行うような複雑な状況下における混濁流の物理機構を明らかにしている.2つめの手法は,海底を構成する細粒土砂の侵食や再浮遊の力学機構をより正確に表現するために,底面近傍や底面上の粒子内部のような高濃度領域における流れを表現する粒子解像アプローチ(grain-resolving approach)をさらに発展させたものである.このシミュレーションでは,詳細な衝突モデルを用いて粒子同志の相互作用を考慮しながら,それぞれの粒子の周りや底面上の土砂の空隙中のNavier-Stokes流を,埋め込み境界法(immersed boundary method)を用いて解いている.