カリフォルニア縁辺域より得られた円石藻群集および石灰化度に基づく過去2700年のENSOおよびPDO変動記録
- Keywords:
- El Niño Southern Oscillation, Pacific Decadal Oscillation, past climate variability, Santa Barbara Basin, Solar cycles, Centennial climatic variability
エルニーニョ・南方振動(ENSO)および太平洋十年規模振動(PDO)は現代の気候変動要素の大半を担っている。ここ数十年間で、気候変動におけるこの2つのモードの理解が高まってきてはいるが、その予測は難しい。その理由は、適切でかつ再現性のある過去のデータが不足しているからである。そこで著者らは、円石藻(石灰質の円石を持つ植物プランクトン)の化石群集とその石灰化度に基づき、ENSO および PDO サイクルの動態について推論した。エルニーニョは植物プランクトン生態系に強い影響を及ぼし、また PDO は湧昇強度、すなわち海洋化学的に大きな影響を与える。カリフォルニア湧昇の強化は CO2 に富み炭酸イオンに乏しい海水をもたらすため、円石藻の円石の石灰化度は低くなる。本研究では、カリフォルニア縁辺のサンタバーバラ海盆の季節性ラミナを持つ堆積物を用いて、3年の時間解像度で、過去2700年間の ENSO 変動と PDO 指数を明らかにした。これらの記録は、同じ地域から報告された、過去数百年間の PDO または ENSO 記録の特徴とも一致することから、本研究で得られた2700年間の記録値の信頼性は高い。これらは、太陽周期に相当する重要な100年周期の変動を示している。