日本語要旨

新潟県・室野泥火山における地震時および地震間の地表変動:地上レーザ測量を用いた解析

新潟県十日町市室野にみられる小規模な泥火山(でいかざん)では、大地震の発生時だけでなく、地震間の非活動的期間にも地表変動が生じている。たとえば、2007年(新潟県中越沖地震)、2011年(長野県北部地震)、2014年(長野県神城断層地震)等の大規模な地震により地表面の急激な変形が生じたが、それらの地震間の非活動的期間にも、緩やかな地表面の上下変位が観察されてきた。この泥火山における地表面高度変化の空間分布を検出するために、われわれは複数回にわたって地上レーザ測量を行い、時系列に並ぶ、多時期の高密度な3次元点群情報を得た。続いて、泥火山周辺の不変領域を基準として、近接する多数の点間距離を最小化するアルゴリズムを用いて、異なる時期の点群どうしの位置合わせを行った。これにより、変動がもっとも大きい泥火山の中心的な領域における、数cm ~数10 cmの上下変位の空間分布が明らかになった。地震によって引き起こされた変形の空間分布は楕円状であり、中央部には地震時の隆起により開口亀裂が形成された。地震時の変位と応力場の関係を数値モデルにより検証したところ、地震発生時の局所的な高圧および表層物質の弱化により、地表の亀裂が形成されることが示された。一方、地震間の非活動的期間における連続的な隆起も明らかにされ、さらに2014年長野県神城断層地震後には、その隆起の生じる空間領域が変化したことが示唆された。本研究により、高精細な地形情報を継続的に取得することで、地震時のみならず、地震間の非活動的期間にも生じる泥火山の地表面における細かな変動を明らかにし、物理的な地下構造と関連した泥火山の活動メカニズムに関する重要な知見を得ることができた。