日本語要旨

国際研究計画のためのeサイエンスと情報学

eサイエンスおよび情報学は、その概念的アプローチ、方法、現状の技術による問題解決手段として、多くの科学分野にとってまだまだ新しいアプローチといえる。全体としては、これらは電子的手段による科学研究(すなわちeサイエンス)を、多くの情報学関連分野(例えば、太陽情報学、地球情報学、気候情報学、など)から得た理解をもとに、さらに推し進めている。CAWSES-II(Climate and Weather of the Sun-Earth System II)のeサイエンスおよび情報学の活動の目標は、国際バーチャル・インスティテュートの推進やバーチャル観測所を推進することにあった。これにより、CAWSES-IIの4つのタスク・グループの方向性に沿った研究が、いわば「システムレベル」で進展することが期待された。

本稿では、現在の科学データに関する状況を把握したうえで、バーチャル組織としてのCAWSES-II計画へ適用可能なeサイエンスおよび情報学において、特に重要な要素について述べる。CAWSES-IIにおいて何が活用されたか、また、成功事例やそのチャレンジについて検証する。こうした活動や他の国際的コミュニティから学んだことに基づき、小規模な共同研究から大規模な国際共同計画まで関係するような、現状の報告を行う。大規模な国際共同計画、とくにCAWSES-IIの後継となるような計画(例えばVarSITI; Variability of the Sun and Its Terrestrial Impact) では、現代の情報技術を用いて推進されている「科学のネットワーク化」の面がこれまでよりもさらに強化されていると考えられる。