深部花崗岩地下水中のコロイドへのウランと希土類元素の分配とその調査手法
- Keywords:
- Mizunami Underground Research Laboratory, Colloid-facilitated transport, Quality-controlled sampling, Deep granitic groundwater, Rare earth elements, Uranium
コロイドやナノ粒子は地球表層環境に普遍的に存在し,水中での沈降速度が遅く,元素の吸着能が高いため,水溶液中における元素の移動に影響を及ぼす可能性がある。特に,コロイドやナノ粒子が地下水中における放射性核種の移動性に及ぼす影響の評価は高レベル放射性廃棄物の地層処分において,最も重要な研究開発課題の一つである。
一般的な地下水の採取は地表から掘削されたボーリング孔や井戸を用いて行われることが多いが,掘削による酸素やドリルビット由来の化学成分の混入といった人為的な影響についてはほとんど検討されていない。本研究は瑞浪超深地層研究所の研究地下坑道から掘削されたボーリング孔を用いて,深部花崗岩地下水中のコロイドの原位置調査手法とコロイドへのウランと希土類元素の分配について検討を行い,以下を明らかにした。
1. ボーリング孔の掘削によって生成したと考えられるAlやFeを含むコロイドや有機物は地下水中のウランの移動に影響を及ぼす
2. 粒径>0.2μmの希土類元素を含む粒子が地下水中を移動
3. 研究坑道で確認される岩石の割れ目中の地下水は人為的に生成したコロイドの影響が少ない一方で,ボーリング孔を用いた地下水の採取は,掘削によって生成したコロイドを除去する必要がある