インドネシア・ジャワ島西部におけるGPSを用いた可降水量キャンペーン観測
- Keywords:
- GPS, Radiosonde, PWV, Indonesia
2010年7月23日から8月5日にかけて、インドネシア・ジャワ島西部のジャカルタ市とボゴール市の間の異なる4地点において、5台のGPS受信機を用いて、可降水量のキャンペーン観測を実施した。GPS可降水量を評価するために、ラジオゾンデは6時間間隔で飛翔させ比較したところ、その二乗平均平方根(RMS)は可降水量で2~3mmであった。GPS可降水量推定において、大気圧と気温の影響を評価した。観測地域では、3~5hPaの振幅で半日周期の気圧変動が観測され、その影響を可降水量に直すと、1.1~1.8mmであった。ラジオゾンデ観測によるプロファイルから、夜間に温度の逆転層が観測され、その可降水量への影響は0.5mm程度であった。7月26日から29日にかけて、雨雲を伴った前線がジャワ島西部を、赤道からインド洋に向けて南西方向に通過した。2回目の降雨イベントは、8月2日にボゴール市周辺で局所的に積乱雲が発生して起こった。これらのイベントはジャカルタ市近郊に設置されたCバンドのドップラーレーダーでも観測されている。最も高い可降水量は、キャンペーン観測中の7月27日に67mmが記録され、降雨イベントとほぼ同時であった。7月27日及び8月2日ともに降雨イベントの前に、4観測点間の可降水量推定値の空間差が大きくなっていった。可降水量の時間的な変化のピークは、2つのイベントともに観測された。結果として、熱帯地方におけるGPS可降水量の空間的・時間的非一様性と降雨イベントの関係を見いだすことができた。