インドネシア・サブ海周辺における局所的な水温極小とクロロフィル極大の季節経年変動
- Keywords:
- Chlorophyll-a, Ekman transport, Heat flux, Indian Ocean Dipole, Monsoon season, sea surface temperature
モンスーンは、インドネシア海域における季節変動の主要な要因であり、サブ海一帯の海洋環境に影響を及ぼす。先行研究により、南東モンスーン期にサブ海周辺の島々の南岸沿いで、沿岸湧昇に起因する冷たい海面水温と高濃度のクロロフィルaが報告されていたが、その詳細は知られていなかった。本研究では、2011年から2020年までの衛星観測データ、大気再解析データ、水温・塩分プロファイルデータを用いて、サブ海周辺の島々の南岸沿いにおける南東モンスーン期の3つの局所的な海面水温極小域およびクロロフィルa極大域を特定し、その季節変動と年々変動を調査した。その結果、局所地形によって増幅された風がこれらの海域で海面水温の極小とクロロフィルaの極大をもたらすことが分かった。南東モンスーン期には、沿岸湧昇に駆動されるエクマン水平温度輸送が、海面水温冷却の支配的要因であった。一方、10月のモンスーン移行期における海面水温上昇には、海面熱フラックスが最も大きく寄与していた。また、年々変動には、インド洋ダイポール現象(IOD)に関連するインド洋から遠隔強制に対応していた。